
30秒の動画が、原価900円。海外AI動画の新モデルを日本の副業に翻訳する【ただし「無料」は誤情報】
海外のAI動画生成が、今週また一段進みました。
2026年8月6日、Alibaba CloudのAI動画生成モデル「Wan 3.0」が公開ベータに入りました。米国のAI情報サイトfuturetools.io(Matt Wolfe運営)が8月7日に取り上げています。
ニュース自体は地味です。でも中身を読むと、AIで副業をしたい人にとってはかなり大きな変化でした。順番にお話しします。
■ 何が変わったのか:「尺」が変わった
わかっている仕様はこうです。
・最大30秒の動画を、1回の生成で出力できる
・入力はテキスト/画像/音声/動画
・解像度は480P/720P/1080P
・料金は1秒あたり0.05ドル/0.10ドル/0.20ドル
・モデルIDは wan3.0-video
ポイントは1行目だけです。「30秒を1回で出せる」。
これまでのAI動画は、1回の生成が5秒から10秒でした。長い動画を作りたければ、短いクリップを何本も作って、つなぎ目が不自然にならないように編集する必要があった。
実は私たちも、SNS用の30秒動画は「10秒×3本」をつないで作っています。この工程が丸ごと要らなくなる、という話です。カメラが動き続ける「一発撮り」の映像が、そのまま1本出てくる。
■ ここが今日いちばん大事:「無料で使える」は誤情報です
ここから注意点です。
このニュース、SNSやまとめ記事で次のように広まっています。
・「4Kに対応した」
・「Apache 2.0で重みが公開された」
・「60BのMoEアーキテクチャ」
3つとも誤りです。
解像度は1080Pまで。価格表が1080Pで終わっていることが、何よりの証拠です。4Kを出せるなら、4Kの値段を書きます。
そして、いちばん広まっている誤解が「オープンソースだから無料で使える」というもの。
Wanというモデルは、これまで「重みを公開する」路線で有名になりました。重みが公開されているというのは、平たく言えば「自分のパソコンやサーバーにダウンロードして、電気代だけで動かせる」ということです。だから今回も同じだと思い込んだ人が多い。
でもWan 3.0は、Hugging FaceにもGitHubにもModelScopeにも、重みが置かれていません。画像生成ソフトのComfyUI用ノードもない。つまり、API経由の従量課金オンリーです。
無料で自分のパソコンで動かしたいなら、オープンウェイトの最新は「Wan 2.2」(2025年7月)が最後になります。
ここを間違えると、「無料だと思って仕事を請けたのに、後から請求が来る」ということが起きます。
なお、Alibaba Cloudの公式ブログには、本稿執筆時点でWan 3.0の記事自体がまだ載っていません。公式の最新は2025年12月のWan2.6系です。正式ローンチは8月10日という報道がありますが、これは報道ベースで公式未確認です。
■ 日本でどう使うか:電卓を叩いてみる
では、日本で副業として使う話に翻訳します。
1080Pで30秒の動画を作ると、0.20ドル×30秒=6.00ドル。1ドル150円で換算すると、およそ900円です(為替で変わります)。
一方、日本のクラウドソーシングで「SNS用の縦型ショート動画を1本作ります」という案件の相場は、だいたい5,000円〜15,000円。
仮に1本1万円で受けたとして、原価は900円。
これが今いちばん現実的な「AI副業」の形だと私は思っています。
すごい技術を持っている必要はありません。必要なのは2つだけです。「海外のツールの料金表を読めること」と、「それを日本のお客さんの言葉に翻訳できること」。この2つだけで、差額が生まれます。
■ 50代の方へ:写真の現像に例えると
昔、写真は「現像に出す」ものでした。フィルムを1本撮ったらお店に持っていって、数日待って、1枚30円くらい払って受け取る。
それがデジカメになって、現像代がほぼゼロになりました。
今回起きたのは、その動画版です。「30秒の映像を作る」という作業の原価が、外注で数万円だったものが900円になった。
ただ、ここで思い出していただきたいことがあります。
現像代がタダになっても、写真屋さんの仕事は消えませんでした。消えたのは「現像する」という作業のほうで、残ったのは「どう撮るか」「どれを選ぶか」「誰に渡すか」の仕事だった。
動画もまったく同じです。生成が安くなればなるほど、「何を作るか決める人」の価値が上がります。
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「今日できる一歩」と「提案書に足せる一行」は、この先に書いています。
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