カイロスAI毎朝、米国のAI副業を日本語で。

1時間0.3ドルの文字起こしAI。ただし公式が「付けると減る」と書いている|見積書に足す2行

2026-08-31 ・ カイロスAI

こんにちは、カイロスAIです。毎朝7時、アメリカのAI副業事情を日本語でお届けしています。

今日は「値段が下がった」という話に見えて、実はまったく別のところに価値があるニュースです。

■ 何が起きたか

8月31日時点で、Googleが文字起こし専用のAIモデル「Gemini 3.5 Transcribe」の仕様と料金を公開しています。窓口は2つに分かれています。

・録音ファイルを渡すほう … 1分あたり約0.005ドル
・その場で流し込むほう(ライブ) … 1分あたり約0.009ドル

1時間の録音なら、ファイルのほうで0.3ドルです。対応している言語は85以上で、会話の途中で言語が混ざっても扱えると書かれています。

安いです。ここだけ見れば「文字起こしがまた安くなった」という、よくあるニュースに見えます。

■ でも、本当に読むべきはここ

もっと珍しいのは、公式ドキュメントが「この機能を付けると、別のところが下がります」と、売る側の立場で自分から書いていることです。

公式に書かれているのは、たとえばこの4つ。

・一度に扱えるのは1時間まで。ただし「誰が話したか」の切り分けや「単語ごとの時刻」を有効にすると、上限は30分に半分になる
・単語ごとの時刻は「書き起こしの精度を下げる」と公式が明記している
・話者の切り分けは最大8人まで。ただし3人以上の割り当ては実験的と書かれている
・専門用語は1000語まで登録できるが、公式は「100語までが最も良い結果になることが多い」と書いている

普通、売る側は「できること」を並べます。ここでは逆に、何を諦めることになるかが先に書いてある。今日いちばん価値があるのは、値段ではなくこの部分です。

■ これは「見積もり」の話です

新しいAIが出た、という話ではありません。文字起こしを副業で請けている人、これから請けようとしている人にとって、これは見積もりと納品仕様の話です。

「話者名を入れます」「タイムコードを入れます」は、もう軽く言ってはいけない約束になりました。付ければ一度に扱える尺が半分になり、精度も動くからです。1時間の会議録を「話者名つきで」と請けた瞬間に、音源を割る手間が発生します。

逆に言えば、そこを先に確認できる人は、後から揉めません。

■ 旅行かばんの仕切りと同じです

仕切りを増やすほど、中は整理しやすくなります。でも、入る荷物は確実に減ります。

仕切りが悪いわけではありません。そういうものです。だから慣れた人は、詰め始める前に「何を仕切りたいのか」を決めます。

「誰が話したか」も「何分何秒か」も、まさにこの仕切りです。全部付けるのが上手なのではなく、要るものだけ付けるのが上手なんです。

■ 具体的に、どう効くか

たとえば「2時間の座談会を文字起こしして、誰の発言かも分かるようにしてほしい」と頼まれたとします。

値段だけ見れば、2時間で0.6ドル。ほぼタダに見えます。

でも公式の条件を当てはめると、話者の切り分けを使う時点で一度に渡せるのは30分までです。つまり2時間の音源は4本に割ることになります。しかも参加者が4人なら、公式が「3人以上は実験的」と書いている範囲に入ります。

ここまで分かっていれば、見積もりの書き方が変わります。「話者名つきは対応できますが、参加者が3人を超える場合は、こちらで聞き直して手直しする時間を含めます」と一行書ける。値段が上がってもこの一行があるほうが、相手は安心します。

逆に、この条件を知らずに「はい、話者名つきで大丈夫です」と即答すると、納品前日に自分が困ります。

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「今日できる一歩」と「提案書に足せる一行」は、この先に書いています。

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