
AIが10分の1の値段になる代わりに、あなたの文章が教材になる日
昨日(アメリカ時間の8月5日)、Meta が「Muse Code」というAIを公開しました。
プログラムを書くためのAIです。パソコンの黒い画面の中で動いて、「やることを計画し、コードを書き、それが正しいか自分で確かめる」ところまでやってくれます。今のところ Mac と Linux で使えます。
公式発表はこちらです。
https://research.meta.ai/blog/introducing-muse-code-and-muse-spark-1-2
……と、ここまで読んで「私はプログラムを書かないから関係ないな」と思われたかもしれません。
私も最初はそう思いました。でも、本当に大事だったのは、AIの性能ではなく「料金表」のほうでした。
■ 料金表に、見慣れない行が増えていた
このAIの中身(Muse Spark 1.2 というモデル)を使うと、こういう値段がかかります。
・標準プラン:入力 1.25ドル / 出力 4.25ドル(100万文字ぶんあたり)
これは実際の販売ページで確認できる、確かな数字です。
問題はここからです。報道によると、Meta はこれとは別に、こんなプランを用意しました。
・contributor(貢献者)プラン:入力 0.10ドル / 出力 0.20ドル
見比べてください。入力で約12倍、出力で約21倍、安い。
ざっくり言えば「10分の1以下」です。
なぜそんなに安くできるのか。条件があるからです。
→ あなたが打ち込んだ文章と、AIが返した答えを、これからのMetaのAIを賢くするために使ってよい、と許可すること。
標準プランのほうは「学習には使いません」とされています。
つまり Meta は、「データをくれる人には安く売る。くれない人には正規の値段で売る」と、堂々と料金表に書いたわけです。
※念のため補足します。この2つのプランの金額は、WSJ をはじめ複数のメディアが同じ数字を報じていますが、Metaの公式ブログには金額そのものの記載がありません。「そう報じられている」段階の情報として読んでください。数字を断定しないのが、この手のニュースとの正しい付き合い方です。
■ これは「Metaが安くした」話ではありません
ここを間違えないでください。
安売り競争のニュースに見えますが、そうではありません。
「データを渡す人は安く、渡さない人は高い」という値段のつけ方が、正式なメニューになった。これが本当の中身です。
そして、この考え方はMetaだけで終わりません。うまくいけば、他社も必ず追随します。
つまり私たちはこれから、AIを選ぶときに3つ目の物差しを持たされることになります。
いくらか(安さ)
どれだけ賢いか(性能)
この仕事の中身を、渡していいか(データ)
これまでは1と2だけ見ていればよかった。これからは3を見ないと、事故が起きます。
■ 50代の方へ。ポイントカードとまったく同じです
難しく考える必要はありません。スーパーのポイントカードを思い出してください。
カードを出すと、少し安くなります。
でもその代わり、お店には「あなたが、いつ、何を買ったか」が全部記録されています。
私たちはそれを、なんとなく納得して使っていますよね。
牛乳とパンを買った記録が残っても、別に困らないからです。
今回のAIの新プランは、これが極端になっただけです。
→ 「10分の1にしますよ。その代わり、あなたが打ち込んだ内容は全部いただきます」
だから、判断の仕方もポイントカードと同じで構いません。
牛乳とパンなら、カードを出す。他人から預かった大事な物なら、出さない。
「AIは怖い」ではないのです。
「これは今日、カードを出していい買い物だろうか?」と考える。それだけです。
■ 副業をしている人は、財布を2つに分けてください
具体的な使い分けを書きます。
【安いプラン・無料プランで大いに結構なもの】
・自分の勉強、練習
・文章の書き方を教わる
・一般公開されている情報の要約
・自分用のメモ、アイデア出し
渡して困るものが、何ひとつ無いからです。ここでケチらないのは、むしろもったいない。
【絶対に安いほうを使ってはいけないもの】
・お客様の名前、連絡先、住所
・まだ世に出ていない原稿や企画書
・見積書、請求書、契約書
・会社の内部資料
数百円を節約して、信用を失う。これほど割に合わない取引はありません。
■ むしろ、これは営業の武器になります
ここが今日いちばんお伝えしたいところです。
副業でライティングや事務代行を受けるとき、見積書やプロフィールに、この一行を入れてみてください。
→ 「お預かりした情報は、AIの学習に使われない設定で取り扱います」
たったこれだけです。
でも、これを言える人は、今の日本の副業市場にほとんどいません。
多くの人が「安さ」で競争しています。値段を下げ合って、疲れています。
そこに「私はあなたの情報を守れます」と言える人が現れたら、どちらに頼みたいでしょうか。
値下げをしなくても選ばれる理由。それが、今日のニュースの中に落ちていました。
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「今日できる一歩」と「提案書に足せる一行」は、この先に書いています。
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